企業名
静岡ガス株式会社
本社所在地
静岡県静岡市駿河区八幡1-5-38
主要事業
・都市ガスの製造・供給および販売
・LPGの販売
・発電および電力の販売
・リフォーム、ガス機器の販売、ガス工事
固定席の課題を解消し、柔軟で効率的な働き方を目指してフリーアドレス化に挑戦した静岡ガス。富士支社での建て替えをきっかけに、若手社員を中心としたプロジェクトが発足。丁寧な意識改革と準備期間を経て、新しいオフィス環境を実現しました。今回は、そのプロセスや導入後の効果について話を伺いました。
静岡ガスでは、富士支社の老朽化に伴う建て替えを機に、働き方改革の一環としてフリーアドレス化を導入しました。変化の激しい環境下で、会社の成長や事業の変革を図るためには、従来の固定席中心の働き方では部門間のコミュニケーション不足や新しい発想の創出が難しいという課題がありました。
「建て替えを機に働き方を見直したい」という経営陣の意向のもと、富士支社でフリーアドレス化が試行され、それに追従して本社でも導入が進められました。
社員意識の改革が課題
フリーアドレス化を進める中で、最大の課題は社員意識の改革でした。特に年配社員からは「これまでのやり方を変えるのは難しい」「慣れた席がなくなるのは不安だ」といった意見が多く聞かれました。一方で、若手社員からは新しい環境に対する期待感も見られましたが、全社的な意識改革には時間が必要でした。
若手中心の「みんなのためのオフィスプロジェクト」発足
意識改革を進めるため、「みんなのためのオフィスプロジェクト」として若手社員を中心にプロジェクトチームが発足。名古屋や東京の企業を訪問し、先進的な事例を体験することでフリーアドレス化の意義が徐々に理解されていきました。半年ほどかけて、みんなでオフィスを作るという意識が広がり始め、具体的なオフィス像を描いていくことができました。
EXOfficeを選んだ理由は、位置情報サービスの精度と信頼性でした。ビーコンを活用した仕組みが、社員の位置把握やコミュニケーションの改善に大きく貢献すると判断しました。また、業界のトップランナーとしての実績があり、安心して導入できました。
導入初期はスマホを活用した位置情報管理が試みられましたが、「位置測位の為にバッテリーを消費する」「位置情報やBLEの設定を切ってしまう」などの課題もあり、十分な効果を発揮できませんでした。このままではダメだと感じ、BLEタグ測位の運用に切り替えました。結果、バッテリーやスマホ設定の課題も解決され、社員がどこにいるのか簡単にわかると現場での評価も高まりました。
社員の変化
フリーアドレス導入後の社員アンケートでは、モチベーションなど一定数のポジティブな変化が見られたため安心しました。また、場所にとらわれない働き方の中で、社員の位置情報がわかるというのは、フリーアドレスに前向きに取り組める大きな理由にもなっています。
コスト削減
これまで、部署や社員の異動のたびにレイアウト変更や什器設置、LANケーブル等の配線工事を繰り返していましたが、フリーアドレス化によりその必要がなくなりました。年末の恒例だった移動作業も不要となり、コストが削減されました。
クリーンなオフィス環境
フリーアドレス化に向けて、「9割の書類削減」という目標が掲げられ、個人の書類や全体の書類の整理・削減が進みました。結果として、目標には届きませんでしたが全体の6割の削減が実現しました。
最初はほとんどの社員が否定的でしたが、個人ロッカーを設けるため半ば強制的に書類削減を進めました、ただ、実際に取り組んでみると、書類の整理に加えて頭の中の整理も進み、働き方が効率化されるなど、ポジティブな変化が見られました。
今では、社員が机を整理して帰る習慣が定着し、オフィス全体が常にクリアな環境になっています。
セキュリティ向上
「机に書類を放置しない」というルールが浸透したことで、情報漏洩のリスクが低下し、オフィス全体のセキュリティも向上したと思います。
フリーアドレス化を進めるには、会社の業務内容や文化に適したオフィス設計が欠かせません。導入時には、社員が新しい環境に適応できるよう配慮しながら、効率的かつ柔軟な働き方を実現する空間を目指すことが重要です。また、試行錯誤を重ねながら自社に合った形を見つけていくことが、長期的な成功につながると考えています。